おしゃれなデザインと温かみのある空間に囲まれ、のびのびとした生活を楽しめる家――
施主様ご夫婦のおおらかな人柄から浮かんだイメージを、設計に込めて形にしました。

特に奥様の強いご希望だった「曲線(アール)」の壁を軸に、住まい全体のデザインを組み立てていったリノベーションです。
こうして生まれたのが、名付けて「アール壁の家」。どんな工夫が凝らされているのか、リノベーション事例としてお伝えします。
玄関から始まる、曲線のインパクト
家の象徴ともいえるアール壁は、玄関正面に両側に配置。
アール(曲線)壁を取り入れると、直線も多い空間にはない柔らかさと、包み込むような安心感が生まれます。

壁でありながら重厚な柱のような存在感を放ち、十字の動線も自然に協調されました。
また、「玄関=廊下」という固定概念を払拭し、幅をゆったりと取っているのもポイント。
奥と手前で高低差をつけた天井構成で、家全体のコンセプトを象徴するデザインになっています。
シックな色彩と絶妙な抜け感

全体のカラースキームは、やわらかなグレーと赤みのあるブラウンでまとめました。
壁紙や建具、巾木、窓枠、カーテンレールまで、そっと色をそろえることで落ち着きのある空間に。
そこにLDKの木目ブラウンをほどよくアクセントとして取り入れることで、空間に深みと優しいコントラストが生まれます。

さらに、洗面カウンターやキッチンタイル、個室の壁などには、白やテラゾ柄をさりげなく加え、ふんわりとした抜け感を演出。
色を完璧に揃えすぎず、自然なムラや表情を残すことで、のびのびとした温かみのある暮らし心地に。
家族が集う場所も、ひとりの時間も、どこにいてもほっと安心できる――そんな、施主様らしい自然体の空気が漂う住まいになりました。
木目の美しさに宿る物語
LDKでひときわ目を引くのは、こだわり抜かれた木目の壁パネリングです。

施主様が一目で心を奪われた建材を中心に、キッチン、建具、フローリングの木目色まで、丁寧にそろえました。
アールが折り重なる壁パネルとも美しく呼応し、彩りも明るくなっています。

時間とともに味わいを増す素材は、観葉植物とともに日々の暮らしの中で育っていきます。
目で楽しみ、手で触れ、暮らしに馴染む。愛着あふれるLDKの象徴となりました。
水平につながる開放感
床の連続性を大切にした設計により、空間はまるで水平に無限に広がるかのような印象を与えます。

玄関からリビングへとまっすぐ光を通すガラスの扉は、室内に自然の景色を呼び込みます。
3.6mの掃き出し窓から差し込む光とバルコニーの景色が自然に溶け込み、心地よい開放感を生み出しているのも魅力です。

廊下の浮いた洗面カウンターや、アール壁の裏に設けた半分隠した収納もオリジナル。
さらに、リビング・キッチン・脱衣室の入り口をすべて引戸にすることで、回遊性のあるスムーズな動線を実現しました。
日々の家事も軽やかにこなせると同時に、開放感と機能性を両立させるスペースになっています。
暮らしとデザインがひとつになる空間

曲線の壁、木目の壁パネリング、水平に広がる床、そして光と色彩のバランス――
1つひとつのデザイン要素が暮らしに寄り添い、毎日の何気ない時間を心地よく彩る空間へと昇華しています。
この家に住む人の個性や暮らし方が自然と反映される「アール壁の家」は、日々を特別に感じさせてくれるお家となりました。










