陽だまりの中で、静かに目を細める。
天井近くを猫が軽やかに歩き、気の向くままに部屋を巡る。
ここは、人のための住まいであると同時に、小さな家族のための住まいでもあります。

人も動物も、心地よく年を重ねていく。
そんな願いから、このリノベーションは始まりました。
天井を伝う、専用の通路


リビングの上部を横切る吊り廊下。
それは、住まいの象徴ともいえるキャットウォークです。
一見アイアンのように見える板材ですが、実は木を丁寧に塗装したもの。
だからこそ、猫の爪にやさしい質感にできました。

ところどころにガラスをはめ込んでいるのもポイント。
下からそっと覗くと、肉球が透けて見える仕掛けも楽しさのひとつです。
高い場所を好む猫のために。
家族の気配を感じながら過ごせるこの通路は、特等席になるはずです。
遊び心もたっぷり忍ばせて

キャットウォークへ続く階段は、住まいの両側に設置。
玄関近くの階段には壁掛けテレビの配線を仕込み、猫がその周囲を自由に巡れる設計にしました。
カウンターへ上がる小さな穴。
隣室へと抜ける低い通路。
隙間を愛する猫の習性をくみ取り、家中に小さな冒険を散りばめています。


反対側の階段は、ステップの一部を収納棚として使えます。
人にとっても使いやすい。そんな家になりました。
光と木が迎えるリビング
住まいの中心となるLDK。
足元には、無垢のオーク材を贅沢に敷き詰めました。
天然木ならではのやわらかな質感で、猫の爪が触れても、白く傷んだりすることはありません。

刻まれた跡さえも、時間とともに深みへと変わってくれるよう。
天井と壁は、白で統一しました。
建具やキッチンにあしらったグレーが静かな存在感を放ち、洗練された印象をつくり出します。
かたちを活かす、キッチンの造形美

台形という個性的なフォルムを、住まいの魅力へと昇華。
キッチンは壁側へと配置し、リビングダイニングを大らかに広げました。
キッチン部分だけ、落ち着いたグレーの壁と石調タイルで仕上げているのもポイント。
素材の切り替えによって、自然な区切りを生み出しています。
視線の流れが心地よく整えられ、暮らしの動線もすっきりと美しくまとまっています。


キッチンの対面には、オーダーメイドのカウンターを設置。
使う家電を想定し、コンセントの位置まで緻密に設計しました。
下部の可動棚は、収納するものに合わせて高さを変えられます。

頭上には黒のライティングレールと存在感のあるスポットライト。
やわらかな白の中に、きりりとしたアクセントを添えています。
光あふれるエントランス

バルコニーに面した玄関は、自然光に満ちた明るい佇まい。
LDKの扉と上部の壁には大きなクリアガラスを採用し、光と風を奥へと導きます。
ブラックフレームが輪郭を引き締め、都会的な印象を添えました。

足元は濃いグレーの石調タイル。
縦に広がる玄関が、落ち着いた迎えの表情をつくります。
窓下には大容量のシューズ収納を確保。
外からは見えない設計で、整った印象にまとまりました。
ただいまの、その先へ

玄関の手前には、小さな洗面台を設けました。
帰宅してからすぐに手を洗える、これからの暮らしに寄り添う設計です。
アクセントになるのは、モダンな柄タイルと黒で統一した金具。
左右のバランスを計算し、丸いペンダントライトを長さ違いで配置しています。


直線的な構造の中に、曲線のボウルと蛇口。
メインの洗面室も、モノトーンを基調とした欧風モダンに。
タイルの目地が描く幾何学模様が、繊細なリズムを奏でます。
ともに生きる家
猫が自由に巡り、家族の気配を感じながら安心して過ごせること。
そのための動線を緻密に描き、入れる場所と守るべき場所を丁寧に分けました。

自然の光をたっぷり取り込み、素材の質感を重ね、時とともに味わいを深めていく住まい。
ここで紡がれる日々は、人にとっても猫にとっても、かけがえのないものになるでしょう。
共に暮らすことを本気で考え抜いた、ひとつの答えです。










