扉を開けた瞬間、物語の続きを歩き出す。
幼いころ胸をときめかせた、あの童話に登場する家のように。

深い色合いの木、時を重ねたような金具、やわらかな曲線。
アンティークの趣が随所に息づき、日常にさりげない華やぎを添えていきます。

このリノベーションが目指したのは、歴史の余韻をまとわせることでした。
アンティークの趣を随所に織り込みながら、機能性も丁寧に磨き上げる。
そうして生まれたのは、優雅さと凛とした佇まいをあわせ持つ一邸です。
キッチンという、主役の風景

住まいの中心に据えたのは、ペニンシュラタイプのキッチン。
そこに広がるのは、絵画のような筆致で描かれた青のタイルです。

上部には、アイアンフレームと木の棚板で構成した吊り棚を設置。
軽やかな構造が視線の抜けを妨げず、光をやわらかく通します。
機能性を備えながら、造形としての美しさも追求しました。

背面には、アンティーク調の吊戸棚。
スプーンとフォークを象った真鍮色のハンドルが、さりげない遊び心を添えています。
そして、キッチンと隣り合う間仕切りにはアーチの入り口を。
直線が多くなりがちな住まいに、穏やかなリズムを描き出します。

素材が語る、力強さと温度
天井には木目と石目を張り分け、ダクトはあえて現しに。
無機質な質感がもたらす緊張感。
そこへフローリングや小上がりに用いた木の表情が重なり、絶妙な調和が生まれました。

異なる素材を重ねることで単調さを避け、奥行きある景色をつくり出しています。
小上がりの床は、フレンチヘリンボーン仕上げのウッドタイル。
視線を落としたときにも美しさが宿ります。
光をつなぐ、室内窓の工夫

リビングダイニングと洋室の間には、突き出し窓とFIX窓を組み合わせた室内窓を設けました。
光と風をやわらかく行き交わせることで、住まい全体に伸びやかな広がりをもたらします。
装飾としての魅力だけではなく、日々の暮らしに寄り添う設計です。
玄関に宿る、迎え入れる所作


玄関の上がり框は、やわらかなアール加工。
大小のアンティーク調タイルを組み合わせ、品格ある第一印象を演出しました。
住まいの「はじまり」を丁寧に整えることで、帰るたびに満ち足りた気持ちを呼び起こします。
小さな場所に、大胆な美意識を


トイレの壁には、樹木や本棚を模した意匠を。
限られた場所だからこそ、思いきった色や柄に挑戦できる。
そんな発想から生まれた、遊び心あふれる仕上がりです。
時を味方にする住まい
アンティークの魅力は、見た目の華やかさに留まりません。
そこに漂うのは、積み重ねられた時間の深み。
素材、色、曲線、そして細部へのこだわり。
それらが静かに響き合い、住む人の感性を映し出す舞台となりました。

歳月とともに、さらに味わいを増していく。
そんな、未来まで見据えたリノベーションです。










