家に入った瞬間、どこかほっとする。
その理由は、目にはっきりと映らない「角のなさ」にあります。

直線よりも、曲線。
強さよりも、やわらかさ。
この住まいは、「丸み」をデザインの軸に据えた家。
日常の緊張をほどき、心までなだらかに整えてくれる空間です。
暮らしの中心に、やさしい曲線を
キッチンは、家族の気配が自然と集まる場所。
だからこそ、無意識に身体が向かう「やさしさ」を大切にしました。

キッチンカウンターに施した緩やかな丸みは、動線をなめらかにしてくれるよう。
まるで、料理中の所作までやさしく見せてくれるような作りです。

キッチン直結の便利なパントリーも、入口を曲線で描きました。
料理をする時間が、作業から「ひととき」へ。
キッチンに立つ背中が、少しだけ穏やかになる。
そんな変化を、曲線がそっと支えています。

白と木が出会う場所
この住まいを形づくるのは、白の清らかさと、明るい木目の温もり。
無垢な白が光を受け止め、木の表情が空間にリズムを与えます。
2つの素材が溶け合い、住まう人の呼吸に寄り添う背景となりました。

ところどころのアクセントクロスが、部屋にメリハリを与えてくれます。
統一されているけれど、単調ではない。
生活のなかの刺激も、忘れません。

朝も夜も、心を整える場所
一日の始まりと終わりを担う洗面台。
ここにもまた、「丸み」というやさしさを忍ばせました。

洗面ボウルの円は、水の流れさえも美しく見せてくれるよう。
身支度の時間を静かに整え、心まで落ち着けます。

鏡に映る自分と向き合う時間が、少しだけ丁寧になる。
そんな小さな変化が、暮らし全体の質を引き上げていきます。
丸みは、デザインではなく「思い」
「丸みのある家」は、単なるデザインや意匠ではありません。
それは、人にやさしくあるための選択。

ぶつからないこと。
とがらないこと。
余白を許すこと。
キッチンも、扉も、洗面台も。
すべての曲線が、住まう人の心に寄り添います。

ここで過ごす時間が、いつの間にか「深呼吸」になっている。
そんな住まいが、完成しました。










