一室まるごと、価値観から組み替える。
その決断から、この住まいは生まれました。

広々としたマンションの一角を、発想ごと刷新するフルリノベーション。
目指したのは、機能と美意識が静かに調和する、穏やかな日々の拠点です。
和室を解き放ち、ひと続きのLDKへ

かつて独立していた和室の壁を取り払い、視界が大きく広がるLDKへ。
住まいの中心に、家族が自然と集まる風景を描きました。
床には、天然無垢のオーク材。
冬でも素足で過ごせる素材と、ゆるやかに表情を変える木目。
時を重ねるごとに艶を増し、暮らしの記憶を受け止めていきます。

リビング側は躯体現し。
コンクリートの荒々しさが、木の柔らかさと対話するように存在します。
無骨さと温度感。
その対比が、都会的な洗練を生み出しました。
キッチンに宿る、素材の力強さ

キッチン背面には、カウンターと収納棚を設置。
家電配置を想定したコンセント計画で、使い勝手も万全です。
床は石目調フロアタイル。
掃除のしやすさとエリアの切り替えを両立しました。

扉面はナチュラルな木目を採用しているのがポイント。
そこに重なるステンレス天板が、どこかアウトドアを思わせる力強さを添えます。
リビング側には小さなディスプレイスペースを。
雑誌や植物、季節の小物。
日々の彩りを、自由に飾る楽しみを用意しました。
光と風を導く、斜めの扉


リビングから斜めに伸びる扉の先は、脱衣所と浴室。
壁上部の室内窓が湿気を逃がし、ほのかな光が気配を伝えます。
視線と空気の流れを繊細に整えた、目に見えない設計です。
玄関から、あちこちにアクセス
エントランスはモルタル仕上げ。
重厚な質感が、帰宅の瞬間を特別なものへと変えます。
廊下との接続部を斜めに設計することで、広がりを演出しました。

アーチ開口の先にはウォークインクローゼット。
ショップのような高揚感を抱かせる入口なのがポイント。
約3.4畳のクローゼットは回遊式。
靴も衣類も一括で収まり、動線もなめらかです。
モールテックスが描く、端正な洗面


洗面台もキッチンと同素材で統一。
撥水加工を施し、安心して使える仕様です。
モノトーンでまとめたデザインは、凛とした佇まい。
玄関から扉に触れずに手洗いへ向かえる導線は、現代の暮らしに寄り添います。
小上がり和室で、原点回帰

クローゼットの反対側には式台を設け、その先に小上がりの和室を。
さらに一段高く設えた床が、特別な居場所をつくります。
モルタルの塊が支える台座は、腰掛けとしても機能。
まるで上質な旅館の玄関のような趣です。

畳の下には床下収納。
遊び場にも、趣味の部屋にも、その時々で姿を変える柔軟さ。
素足で歩き、床に座り、横になる。
日本人の感覚に深く馴染む時間が、静かに流れます。
既成概念をほどき、暮らしを再構築する
四角い一室に、あえて斜めのラインを引く。
視線の抜けを生み、動きにリズムを与える設計。
天然木、畳、左官材。
手の痕跡が残る素材たちが、住まいに奥行きを与えます。

安らぎ。
和み。
温もり。
それらを丁寧に編み込みながら完成した住まいです。










