すべてを新しくする必要はない。
大切なのは「何を残し、何を変えるか」。
この住まいが選んだのは、使えるものを丁寧に生かしながら自分らしさを重ねていく、部分リノベーションです。

コンパクトな予算でも実現できる、「品」のあるリノベーション事例を紹介します。
住まいの第一印象を静かに整える玄関
玄関ホールには、深みのある石調タイルを重ねました。
足元から伝わるのは、ひんやりとした質感と落ち着き。
収納はあえてコンパクトに。
視界を占めていた大型収納を手放すことで、新たな空間が生まれます。


見せたいものと、隠したいもの。
その線引きが、暮らしをすっきりと整えてくれます。
壁をほどき、時間が流れるリビングへ
かつて部屋を分けていた壁は取り払われ、ひと続きのリビングダイニングへ。
足元に広がるのは、無垢材のフローリング。
クリアオイルで仕上げた木肌には、自然が描いた節や木目がそのまま表情として残されています。

目に映るだけで、ぬくもりが伝わる。
そんな素材が、日常をやさしく包み込みます。
都会の中に、小さなオアシスを
住まいの形を生かした、窓に囲まれた一角。
ここには、ハンモックを吊るための仕掛けを忍ばせました。

光に包まれながら、ゆらりと揺れる時間。
それは、忙しい日常の中に生まれる、静かな逃避行。
心をほどく場所は、家の中に作れるのです。
黒が引き締める、空間の輪郭
建具はすべて、黒で統一。
白を基調とした空間の中で、黒い扉が住まい全体の輪郭をくっきりと描き出します。


リビングの入口には、曇りガラスを。
姿は見えなくとも、奥に広がる明るさが優しく伝わります。
機能と美しさを両立するキッチン

キッチンは、新たに設え直しました。
白と黒でまとめたシンプルな佇まいは、周囲のインテリアを引き立てる存在です。

カウンターの向こうには、さりげない収納。
奥にはパントリーを設け、冷蔵庫までも生活感から切り離しました。
黒の水栓が静かに存在感を放ち、異なる形のタイルが都会的なリズムを生み出します。

光と風を招き入れる、書斎という居場所
リビングの隣には、小さな書斎を。
室内窓を設けることで、光と気配がやさしく行き交います。

閉じすぎず、開きすぎない。
集中と解放、そのどちらも叶える場所です。

眠りのための、やさしい余白
寝室には、淡いベージュのアクセントクロスを。
一日の終わりに、心をほどくための色合いです。

収納は扉を設けず、布でやさしく仕切る。
視線を遮らない工夫が、空間をより広く、軽やかに見せてくれます。
残すという選択が生む価値
水まわりや照明は、大幅なデザイン変更をしませんでした。
使えるものを活かすことで、住まいは無理なく、自然体で整っていきます。


すべてを変えなくてもいい。
自分の暮らしに必要なところだけを、丁寧に選び取る。
それもまた、リノベーションの美しさです。






