たくさんの色。
個性豊かな柄。
本来なら主張し合ってしまいそうな要素たちが、この家では不思議なほど穏やかに寄り添っています。


計算された設計と、細部まで行き届いた美意識があるからこそ。
扉を開けた瞬間から、暮らしは物語へと切り替わる。
そんな感覚をまとった、カントリー風のアートハウスリノベーションです。
期待が高まる、玄関からの序章


最初に迎えてくれるのは、柔らかなアーチを描く上がり框。
床とのつながりを広げることで、足を踏み入れた瞬間に視界がふっと開けます。
土間にはモルタルをベースに、色とりどりのタイルを散りばめました。

どこか異国の公園を思わせる配色が、これから始まる時間への期待をそっと膨らませます。
ここは、家の「顔」。
帰るたび、出かけるたびに気持ちを切り替えてくれる場所です。
しまうことが、魅せることになる場所

玄関脇のアーチを抜けると、ウォークインクローゼットへ。
中央に設けた壁が、収納の可能性を大きく広げています。
タイル柄のクロスをまとった壁面は、実用でありながら印象的。
ゴールドのフックに掛けられたコートや帽子は、いつの間にかインテリアの一部になります。

スポットライトの光を受けたその風景は、まるで小さなショップのよう。
廊下側には大きな室内窓。
ガラス越しに覗くクローゼットは、日常を少しだけ誇らしく見せてくれます。
壁が、表現の場になる


廊下の正面には、黒板クロスのスペースを用意しました。
木枠とブラケットライトが、この一角を自然と「描く場所」へ導きます。
子どもたちの落書きも、大人のメモも、日々のひらめきも。
この壁は、暮らし「声」を受け止めてくれます。
素材が響き合う、LDKの中心

リビングダイニングには、オークの無垢材フローリング。
オイル塗装によって、使い込まれた木のような深みが生まれました。
天井は躯体を現し、白く塗装しているのもポイント。
視線は上へと伸び、シーリングファンが静かに空気を巡らせます。

集うための、特別なカウンター

空間の中心に据えられたカウンターテーブルは、重厚でありながら親しみのある佇まい。
フローリングと同色で仕上げた木の表情が、住まい全体と自然につながります。
立ち上がり壁に並ぶのは、北欧風のカラフルなタイルを散りばめます。
あえて表情の異なるものを選び、整いすぎないリズムをつくりました。
機能と情緒が重なるキッチン

キッチンの床には、石調タイルを。
実用性に優れながら、庭園の小径のような落ち着いた雰囲気を漂わせます。
木目の面材と、白い天板のコントラスト。
弧を描くグースネック水栓が、硬質な印象をやわらかく包み込みます。
背面の淡いベージュタイルが光を受けて穏やかに輝き、棚板と黒い配管パイプが温度を添えてくれました。

奥へと続く、静かな頼もしさ


アーチの先に広がるのは、大容量のパントリー。
冷蔵庫も日用品も、すべてを受け止める懐の深さがあります。
レンガ調のクロスと石調タイルが重なり合い、まるで地下の貯蔵室のような落ち着いた表情に。
見せない工夫が、暮らしをより整えてくれます。
日常が、そっと輝き出す場所

カントリー風のカフェを思わせる重なりの中に、色と曲線がもたらす愛らしさを忍ばせて。
特別な設えに包まれているからこそ、何気ない日々が穏やかに、深く、心に残っていく。
ここで過ごす時間そのものが、この住まいの完成形です。










